昔好きだった人を思い出せない
笑った記憶はあるのに何がそんなに面白かったのか思い出せない
泣けるほど悲しかったのになんで泣いていたのか思い出せない
思い出せない記憶が年々増えていく
人は忘れる生き物だから思い出せないことがあることは当たり前のことで
思い出せないことはきっとこれから生きていく上で必要ないと判断されたから記憶から消されてしまった
それでもたまにどうしても思い出したいことを思い出す
でもやっぱり思い出すことはできない
ただそれを考えていた場面や感じていた雰囲気だけはやんわり記憶にある
夏の暑い日の夕方
夜のマンション
ベットの上
深夜の歩道橋
その時の気温や空気はなんだか忘れられなくて
同じ気温、同じ時間、同じ空気を感じた時ふと思い出す
それを思い出すとたまに悲しくなる
もう当時に戻ることはできない
もう全く同じ感情を味わうことはない
似た感覚ではあるけどそれは当時とは絶対に違う
近寄ることはできない
それはそれできっと良くて
これからもっと感じることが増えていくだろう
それを考えながら今も同じ気温を感じてる